痴漢蚊帳の内
茄子と四十路後家
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◆スタッフ◆製作:フィルムハウス/提供:Xces Film/脚本:蒼井ひろ/監督:坂本太/撮影:創優和/編集:有馬潜世/スチール:阿部真也/現像:東映ラボテック
◆キャスト◆松本美和:竹内順子/渡辺純子:倖田李梨/高沢優奈:杉本愛理/高沢晴彦:小林三四郎/渡辺孝司:岡田智宏/松本真二:成田渡
◆解説◆ 昔はどの家庭にもあった蚊帳。夏の季節にはなくてはならないアイテムだったが、最近はあまり見かけない。あの独特の細かいメッシュの入った中で寝るのは大変気持ちが良く、台風の夜など雷がなった時などよく潜り込んだ記憶がある。今回はそんな蚊帳の中で起る奇妙な出来事のお話。夜な夜な未亡人の家に夜這い来る男。その男を愛してしまったオンナの行く末は…。
主演は、あの「T●F」のバックダンサーとして活躍した竹内順子。スレンダーな体に、ボリュームある乳房で男を悩殺します。
監督は坂本太がお贈り致します。
◆ストーリー◆ 東京郊外の住宅街を一人の男が歩いていた。男の名前は、高沢春彦(43)春彦は、一軒ずつ住宅を回って、チャイムを押して行く。「家の増改築などの予定はありませんか? 夢のリフォームプランをお届けしています」春彦は、丘の上の公園で一休みして煙草を吸う。眼下には、無数のマイホームが広がっていた。
ところ変わって、同じ街の繁華街の一角にある小料理屋「ひなたびより」。そこの女将、松本美和(41)は、美しい未亡人だった。店には、夜になると、近くで働く男たちが、ひとときの憩いの時間を求めてやって来るのだった。
その日も、常連の渡辺孝司(41)と妻の純子(36)が来ていた。孝司は、美和の幼馴染で近くの酒屋の二代目だった。孝司は、美和が店を出す時に、懸命になって開店まで漕ぎ着けたという経緯があった。それは、昔から、美和のことが好きだったからだ。そして、純子は、美和が働いていた会社の後輩だった。 店では、最近、隣町に出没する痴漢の話題が出る。それは、女の一人暮らしか、或いは、普通の家庭でも、夫のいない隙に妻が薬で眠らされて犯されるというものだった。そんな話をしていると、純子が、孝司の前で言う。実はね、私もそんなことされたような気がするの。夢魔がきっと私に悪さしたんだわ」「夢魔?」
美和は、驚いたように純子を見て聞き返した。そして、もっと驚いたのは、孝司の方だった。「お前、それ、ホントか? だったら、警察に行かないと」「確証も証拠もないんだ。ただそんな気がするだけ。でも、間違いなく知らない男が私の中に入って来たような気がするの」
その日の夜、美和は家に帰り、一人湯船に浸かっていた。美和は、さっきの純子の話が耳に残っていた。「夢魔かあ・・・」美和は、その熟れた身体をもてあましていた。部屋の中には、蚊帳が下げられていた。美和は、その中で、自分で自分を慰める。そして、一本の茄子を自分の陰部に入れていった。「ああ・・・」美和は、声を上げた。そして、亡くなった夫との恥ずかしい行為を思い出していた。夫は、死ぬ前に、一度だけ、自分のあそこに茄子を入れたことがあった。どうしてだろう? もしかしたら、付き合っていた若い女に同じことをしたのかもしれない。美和は、切なかった。そして、そんな行為に一人遊びするうちに意識を失ってしまった。
美和は、夢を見た。それは、夢なのか、現実なのか分からなかった。しかし、美和は、間違いなく夢の中で犯されていた。いったい誰が私を抱いているのだろう? 美和の身体を柔らかな指が愛撫し、そして、股間には、硬いものが強く押し付けられて来た。美和は、夢の中で、何度も正体のわからない男に抱かれた。
次の日の朝、美和は、起きると頭がぼうっとしていた。そして、身体の奥には、間違いなく男が入って来た感触が残っていたのだった。それは、ただごとではなかった。本来なら、警察に行くところだろうが、何の証拠もなかった。美和は、一人首を傾げるしかなかった。
その日、店には、開いてすぐ、高沢春彦が入って来た。「あら、この前の」「すみません。いいですか?」カウンターに座り、二人は、話になった。春彦は、数日前に、店の入口のドアを開きやすいように調整してくれたのだった。
その時、孝司と純子が、入って来る。二人とも酔っている。何処かで一杯やって来たようだ。「美和さん。聞いてくれよ。こいつさ、この前の話、嘘だったんだって。俺にかまって欲しくて話作ったんだ」「いいじゃない、だって、最近、ホントご無沙汰だったでしょ」純子は、かなり酔っているみたいで、美和の話になる。「それよりさ、例の痴漢、美和さんの家に来たらしいわよ」「えっ!」孝司は驚いた。「ちょっと、純子、やめて」美和は、しまったと思った。あの次の日、つい、電話で話したのがまずかった。美和が止めるのも聞かず、純子はベラベラと喋る。美和は、カウンターの隅にいた春彦に謝る。「すみません。うるさくて」「いえ」春彦は立ち上がった。「お勘定お願いします」「明日は、何時に来てもらえますか?」「お昼でどうでしょう?」春彦は、美和の家の住所を聞いて出て行った。「誰だ、あいつは?」「リフォーム屋さん」「ふーん・・・」孝司は、胡散臭そうな顔で見送った。
翌日、布団の中で目を覚ます美和。しかし、男は、昨夜は来なかったようだ。美和は、少しがっかりした。
その日の昼、春彦がやって来る。頼んだ玄関のリフォームは、簡単に終わってしまった。「家のリフォームお願いしようかな。カタログあります?」美和は、そのまま帰したくなくて、聞いてみた。春彦は、持っていた施工例のカタログを見せる。「でも、思い出の家なんじゃないですか?」居間の方で、真介の遺影が見ていた。「ご主人、どうして、亡くなったんですか?」「不倫相手にふられたんです。それが原因で自殺。橋から大きな川に飛び込んで・・・最近は、顔も思い出せなくなって」外は、雨が降って来た。部屋の中が暗くなる。「そろそろ行かないと」「雨がやむまで、ゆっくりしていって下さい」美和は、何故だか引きとめたが春彦は、帰って行った。
その日の夜、美和は、布団の中で待った。そして、夢の中で、その男は、もう一度やって来た。美和は嬉しかった。そして、美和は、その男に抱かれ、存分に濡れていった。そして、次の日もその次の日も男はやって来た。それは、美和にとって、夫がいなくなって以来の、他には、変えがたい感触で、不思議と心が幸福になるような出来事だった。
ある日、街に若い女が現れた。女は、写真を持っていて、道行く人に聞いて回っている。たまたま、通りかかった真二に、女は、写真を見せる。「この人を探しているんです」その写真は、春彦の写真だった。「誰なんですか?」「私の父なんです。見かけたら、ここに電話ください。お願いします」女は、写真を真二に一枚手渡して歩いて行く。
その日の夜、美和は、いつものように、蚊帳の中で眠っていた。熟睡していた。また、あの男が来るのを待っているのかもしれない。すると、部屋の襖が開いて、黒いマスクをした男が入って来て、蚊帳の中に入る。男は、美和の服を脱がし、その乳房を愛撫し、しゃぶりついた。そして、その手首を紐で乱暴に縛り上げる。美和は、夢の中にいるが、いつもと違う嫌な感触に、無意識に抵抗する。男は、早急に、そして乱暴に美和の中に入れようとする。すると、いきなり、男の後頭部が殴られ、男は、美和に覆いかぶさるようにして気を失って倒れた。
翌朝、美和は目を覚まし、部屋の中を見回した。何か様子がおかしい。昨夜入って来た男は、一体何だったのだろう。その時、玄関のチャイムが鳴る。出ると、純子がいた。「ねえ、美和さん。昨夜、うちの帰って来なかったんだけど、来てないよね」「え?」「おかしいなあ。他に行くとこなんかないんだけど」すると、部屋の奥で、うーうーという声が聞こえた。二人は、手にフライパンを持って、奥の部屋を開け、仰天する。孝司が、裸でグルグル巻きにされて唸っていたのだった。
その後、二人の前には、裸の孝司が座らされていた。「美和さん。こんな奴、警察に突き出していいよ」孝司は必死に謝った。「ごめんなさい。もう、しませんから」「「もう、いいわ・・・でも、二度とうちの店には来ないで」美和は孝司に冷たく言った。孝司は、悔しそうに唇を噛み締めた。「でも、こいつ、やっつけたの誰だったの? もしかして、本物の痴漢が家にいたんじゃないの?」美和は、答えることが出来なかった。
二人が帰った後、美和は、ぼんやりしていた。雨の音がして、時々、雷の音が鳴った。美和は、思い立って、電話をかけた。「すみません。営業の高沢春彦さん、いらっしゃいます?」「ああ、高沢なら、隣の町の営業所に移りましたが。連絡取りましょうか?」「いえ、結構です」美和は、急いで電話を切った。その時、ドアのチャイムが鳴った。美和が出ると、若い女が立っていた。女は言った。「すみません。人を捜しているんです」女は、雨でずぶ濡れだった。女は、写真を差し出した。それは、春彦の写真だった。美和は、それを見て驚く。「この人は、あなたの・・・」「ええ。父です」女は、それだけ言うと、そのまま倒れてしまう。美和が、額を触ると凄い熱だった。
女(高沢優奈、23)は、居間の布団に寝かされていたが、気がつき、起き上がろうとした。美和は、優奈に動かないように言った。そして、父親を捜していたわけを聞いた。優奈は、最初黙っていたが、「また、お父さん、悪いことするんじゃないかと思って」「悪いこと?」優奈は、父親が、警察に捕まったことがあると話した。「女の人の家に忍び込んで、薬を使って、眠らせて、悪いことをして楽しむんです」と、そう言った。「でも、どうして?」「分かりません。でも、やめられないみたいで・・・もともと真面目な人だったのに、お母さんが浮気して、男の人と逃げてからおかしくなってしまったんです」優奈は、逆に聞いて来た。「もしかしたら、お父さん、ここに来たんじゃないですか?」「ええ・・・」「美和さん、怒ってないんですか? 父がひどいことしたんでしょ」しかし、美和は、首を振った。「私ももう一度会いたいの。私、捜して来てあげようか?」美和は、自分も一緒に行くと言う優奈を置いて、家を出た。
美和は、途中で、真二と会った。美和に呼ばれて、急いで駆けつけたのだ。
その後、美和の家では、真二が優奈を診察していた。「雨に打たれたのがいけなかったんだね」「あなたは、美和さんのご主人の・・・」「弟だよ。そこに写真があるだろ」「顔が似てますね。そっくり」「よく言われるよ」真二は、笑って答えた。優奈は、じっと真二を見つめていた。
隣の町。春彦が、営業で住宅街を歩いていた。その前に一人の女が立った。美和だった。「娘さんがうちに来てますよ」春彦は、その言葉にそこから逃げようとする。「逃げないで下さい」美和は、その前に、立ちはだかった。
その頃、美和の家では、真二が、優奈を抱いていた。行為が終わった後で、真二は、優奈に聞いた。「どうして、君は、お父さんをそこまでして捜しているの?」「お父さん、手帳にメモ残していて」「なんて書いてあったの?」「もう一度、生まれ変わりたいって・・・」
美和と春彦は、ベンチに腰掛けていた。「娘さんに会ってあげてください」「会わせる顔がないよ」「あなたは、死ぬつもりじゃないですか? 私、分かるんです。死ぬつもりなら、私も一緒に行ってもいいですよ」「馬鹿なことを言わないでくれ。君とは、会ったばかりじゃないか?」「じゃあ、どうして、私の家に来て、何度も抱いたりしたんですか? 私、本気です」「あなたは、亡くなったご主人と僕を重ねているだけだ」美和は、春彦に告白した。「私は、あなたが、家に来て、そして、抱かれて嬉しかった」「それは、ご主人のかわりに、ということでしょう」「今の私には、あなたが必要なんです」美和は、本当に、そう思って言った。「僕は、本当に、情けなくて、薄汚い男なんだ・・・」春彦は、声を震わせて言った。
その後、ホテルで抱き合う春彦と美和の姿があった。二人は、お互いの身体を確かめ合うように、何度も抱き合った。
数日後の「ひなたびより」。純子がカウンターに来ていた。純子は、美和が、リフォームをやっていた男と暮らし始めたことに驚いていた。美和は、幸せそうだった。
数日後、町の住宅街。春彦は、営業で歩き回っていた。そして、いつかの公園で休憩する。眼下に町を見渡す。一服して、もう少し回ろうと道路に歩き出す。その背後から、乗用車が凄いスピードで走って来る。一瞬のうちに、春彦を轢いて走り去る。運転していたのは、孝司だった。
路上には、頭から血を流した春彦が倒れている。その目が、開いたまま息をしなくなる。暖かな日差しが春彦の顔に当たっていた。その携帯が鳴り始める。
美和は、ひなたびよりから携帯をかけていた。そして、独り言を言った。「おかしいなあ。お客さんと話してんのかな・・・?」美和は、留守番電話にメッセージを入れた。「仕事終わったら、お店に寄って。おいしい煮込み作ったから。それじゃね」美和は、楽しそうな顔で、仕込みを続けた。