寝とられた人妻 夕樹舞子
私に股がして!
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◆スタッフ◆製作:ネクストワン/提供:Xces Film/脚本:日下由子/監督:工藤雅典/撮影:井上明夫/照明:隅田浩行/録音:シネキャビン/編集:三條知生/音楽:奈良敏博/スチール:佐藤初太郎/助監督:山内大輔/撮影協力:南雲ニ三雄/現像:東映ラボテック
◆キャスト◆増田清美:夕樹舞子/諏訪佑子:夏目今日子/美浜智子:坂町千代子/諏訪誠一:那波隆史/三村聡:サーモン鮭山/矢野健治:澤井隆輔/◆解説◆
不倫をしている女性が増えている。エクセス独自の調査によると、成人女性の四割は『不倫をしたことがある、又は、してみたい』との解答を出した。一番多かった答えは『不倫はしたくないけど、好きになる男性にたまたま奥さんがいただけ』との事。他には『なんか…不倫関係って、いけないと思えば思うほど、お互い燃え上がるわ…」とかなり積極的な意見もあった。そして最後にこんな質問をしてみた。
『不倫関係の結末は…?』結果は映画の中にあります。
自殺願望ある男と女が、ある出来事を境に地獄の底まで愛し合う究極のラブストーリーがついに完成しました。
主演は90年代を代表するAVクィーン夕樹舞子。日本を飛び出してアジアの女王として君臨したのは記憶に新しい。そんな彼女が魅せる新しい愛の形とは…。
監督は工藤雅典でお贈り致します。
◆ストーリー◆
人気のない夜の運送会社。一つの窓から、かすかに明かりが漏れている。暗い布団部屋で、三村聡に両足を高く上げられながら、抱かれている増田清美。「お嬢さんって奥さんに似ているの?」驚いて離れる三村…。虚ろな目を三村に向ける清美。『この男も私を選ばないだろう…』
コンビニルート配送仕事を終えて、会社に戻って来た諏訪誠一。疲れた足取りで会社の階段を昇ろうとすると、今にも飛び下りようとしている清美の姿が…。飛びかかり清美を押さえる諏訪。「な、なんで、こんなことするんだよ」と諏訪。「うんざりしちゃった…ごめんなさい」と力なく答える清美に「俺も今日こそ、飛び下りようって思っていたんだ…」「女房が男と逃げちゃって」と告白する諏訪。お互いを慰め合うように抱き合う二人。
秋空を背に、古いアパートの二階の窓で、紙風船が弾む。生活感のない室内に段ボールで造ったテーブルが一つ。その上に破れかけた地図を広げ、死に場所を探す諏訪と清美。二人は死ぬまでの少しの時間を、二人で暮らす事にし、このアパートを選んだ。がらんとした六畳。がらんとした台所。玄関の三和土によれた二人の靴が並んでいた。
仕事を終えてアパートに帰る諏訪。清美は窓から空を眺めている。二人寄り添い抱き合う。「酢豚が食べたいな…」と諏訪が呟くと、清美も頷く。
近くの公園で、コンビニの袋を下げて佇む二人。「結局、肉マンになっちゃったね」と言いながら肉マンを頬張る二人。すると突然「諏訪さん、奥さんってどんな人?」と聞く清美。沈黙の後「ガキみたいな野郎と逃げたんだ」とポツリと言う諏訪。煙草に火をつけた諏訪は深く煙りを吸込んだ。
諏訪が殺風景な部屋に竜胆を買って来る。花の世話をする諏訪を見つめる清美。「へえ、こんな趣味があったんだ」「まさか、人に聞いたんだ」「なんで竜胆なの?」「カタカナの花が覚えられないだけ、桜、朝顔、竜胆はわかる」微笑む清美「明日、家具でも買いに行こうか…」ぼそりと呟く諏訪。
夢の島(粗大ゴミ置き場)にやって来る二人。清美が大きく口を開けて笑う。「何が、おかしんだよ」と諏訪。「だってインテリア売り場だと思ったんだもの」寄せ集めの粗大ゴミでちょっとしたモデルルームを作り上げ、はしゃぐ清美。すると諏訪が「清美、結婚しよう!」「そうじゃなきゃ、今ここで、死んじゃおう!」ポケットから小型ナイフを取り出し、自分の首にあてる。「だめ!一緒じゃなきゃ」諏訪、ナイフを捨てて清美を抱き締める。「私、料理、頑張るからね、作ったら、食べなきゃいけないんだからね」そして、夢の島で小さな結婚式を二人だけであげる。
しかし、幸せな時間は長くは続かなかった…。会社で諏訪の住所を偶然見てしまう清美。そして足は自然に諏訪の家へと向かっていた。
一件の家の前で立ち止まる清美。表札には『諏訪』と書かれている。奥の庭に人影を感じ、そっと覗く。人影はつばの広い帽子を被って、庭仕事をしている。家の中から電話のベルがなり、女は躊躇なく家に入っていき、電話に出た。「諏訪でございます」庭には竜胆が見事に咲いていた。
家に帰ると、諏訪が待っていた。「何処に、行っていたんだよ」「連絡ぐらいしろよ」と言うが何も答えない清美。そして、徐に、ブラウスを脱ぎ、ショーツを下ろし、スカートを脱ぐと「ねえ、背中も、足も、お尻も、全部触って、強く触って」激しく絡む二人。事後、暗い室内で裸のまま横たわる二人。「何かあったの?」清美を撫でながら、優しく訊ねる諏訪。「奥さんが、あなたの帰りを待っているの。今すぐ行って…。離婚のこと、話し合って、朝までには戻って来て…」諏訪は頷き「じゃあ、朝まで、待っててな」と言い部屋を出て行った。
朝、窓辺に腰を掛けている清美。やがて無情にも朝日が清美の涙を照らし出す…。そして、そこには諏訪の姿はなかった。
駅のホームで待ち時間を過ごす清美。冷凍みかんを剥いている。『何もないかもしれないけど、何かあるかもしれない。そう思えるようになった。人生最高の夢を見た気がする』清美の後ろ姿は、決して寂しをうには映らなかった。